静岡県 袋井市 げんまクリニック 内科・呼吸器内科・アレルギー科

気管支喘息

気管支喘息

気管支喘息は、

  1. 気管支が敏感なヒトに
  2. 気管支のアレルギー性炎症がおこって
  3. 気管支が痙攣して狭くなり
  4. 咳や喘鳴(ゼーゼーヒューヒュー)、息切れがする疾患
                           です。

喘息と時間

 喘息の咳と喘鳴は夜から明け方に強いのが特徴です、昼間は咳が軽いのに、深夜の午前1時から3時頃に咳が激しかったら喘息を疑ってください。

喘息の病型

 成人の気管支喘息は、こどもの頃に喘息が始まった小児期発症喘息と大人になってはじめて喘息をおこした成人発症喘息に分類されます。
 また、アレルゲン(アレルギーの原因物質)があるのをアトピー型喘息、アレルゲンがない(分からないだけかも知れない)のを非アトピー型喘息といいます。
 小児期発症喘息はアトピー型が殆どですが、成人発症喘息は非アトピー型喘息が多数です。

喘息の誘因

 アレルゲンでは、室内塵・ダニ(室内塵の主成分がヒョウヒダニなので室内塵とダニは同じと思ってください)、ネコ・イヌ・ハムスター・モルモットの毛など、アスペルギルスやカンジダなどのカビ、ゴキブリやユスリカなどの昆虫、カモガヤ・オオアワガエリなどのイネ科雑草の花粉、があり、最も多いのは室内塵・ダニです。
 RSウィルスなどによる呼吸器感染症(いわゆるカゼ)が喘息の誘因として重要なのは言うまでもありません。
 ホコリ・大気汚染・喫煙も重要な誘因です。喘息が秋に多く、また、季節の変わり目や気候の悪化するときに喘息発作が起こるのも患者さんが経験しています。
 職業に関連するものでは、材木の粉・キノコの胞子・ゴム製品・ウレタン塗装などに使うイソシアネート・ニッケルやコバルト等の金属粉、などさまざまなものが喘息の誘因となりえます。特定の仕事をすると咳やヒューヒューゼイゼイが始まったり、休日には喘息がでなかったりしたら職業性喘息かも知れません。
 お酒によわいヒトでは、飲酒が喘息をおこしますし、月経直前や生理中に喘息が悪化する女性もいます。
 小児では、運動で喘息が誘発される事が多く(運動誘発性喘息)、成人発症喘息の患者のなかには「痛み止め・熱冷ましの薬や食品添加物」で重い喘息発作がでるヒトがいます(アスピリン喘息)。

喘息は気管支の慢性炎症

 喘息患者の気管支では、好酸球・肥満細胞・リンパ球などの細胞が侵入して慢性のアレルギー性炎症が起こっています。この炎症のため気管支が過敏になっています。そこに何らかの刺激(例えばダニの排泄物やタバコの煙など)が加わると、気管支の筋肉が収縮して気管支内腔が狭くなり、さらに気管支がむくんで狭くなり、おまけに気管支から粘っこい粘液が分泌されてもっと気管支内腔が狭くなります。その結果、激しく咳き込んで、ヒューヒューという喘鳴が生じ、息を吐くのが遅くなって、呼吸が苦しくなります。

喘息の治療

 喘息治療の目標は「健康なヒトとかわらない日常生活がおくれること」です。オリンピック選手のなかにも多くの喘息患者がいて、特に冬期スポーツや水泳競技者に高率です。きちんと治療すれば、喘息をもつアスリートのメダル獲得率は高く、喘息があっても厳しいトレーニングが可能で一流の成績が残せています。

  1. 喘息発作時の治療
     軽い発作なら、「吸入β2刺激薬」の吸入で治まります。メプチンクリックヘラー™やサルタノール™という吸入薬はポケットに入れて持ち運べるのでいつでもどこでも吸入治療できます。
     ところが、喘息発作が激しくなると気管支が狭くなって、うまく吸入できなくなります。こうなったら、「ネブライザー」を用いて、数分間かけて持続的に「β2刺激薬」を吸入させたり、「β刺激薬」のボスミン™を皮下注射します。さらに発作が続けば「テオフィリン薬」のネオフィリン™や「ステロイド薬」を点滴します。
  2. ふだんの治療
     喘息は気管支の慢性炎症なので、喘息患者の気管支から好酸球・肥満細胞・リンパ球などのアレルギー性炎症細胞を排除するのが重要です。
     このためには「吸入ステロイド剤」が最も有効です。この薬は、「アレルギー性炎症」・「気管支のむくみ」・「粘液の分泌」などを予防します。
     そのほかに有効な薬には、「長時間作動性β2刺激薬」があります。セレベント™という吸入薬とホクナリンテープ™という貼付薬があります。さらに「ロイコトルエン拮抗薬」や「テオフィリン薬」の内服も有効です。いわゆる「抗アレルギー薬」のうちインタール™は多く患者さんに有効ですし、アイピーディ™が効く患者さんもいます。
     「吸入ステロイド剤」単独で喘息発作が全然なくコントロールできる患者さんも多いのですが、複数のくすりを併用する必要のある患者さんも多数おられます。いずれにせよ、喘息症状がおちついて発作が殆どでなくなったら、三ヶ月ごとに薬を少しずつ減らすのが原則です。

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