花粉症の治療
花粉症の治療
治療の基本はまず、花粉への暴露を避けること、つまり、花粉を鼻やのどに吸い込んだり、花粉が眼に接するのを防ぐことです。具体的には、花粉の多い時間帯は外出しない、外出時はマスクや眼にゴーグルをする、外に干した洗濯物を取り入れるときには叩いてから取り込む、などが挙げられます。究極の回避としては、スギ花粉の時期にスギが生えていないところの北海道や沖縄に移住すれば、とりあえず完全に改善します。しかし、北海道にはシラカンバ花粉症があるので、スギ花粉症の患者が長く北海道で暮らせば、シラカンバ花粉症になる恐れがあります。
飲み薬以外の方法としては、『減感作療法』があります。喘息や花粉症などで、原因となるアレルゲンを薄い濃度から、週に、1-2回注射しますと、抵抗力が付いてきます。数ヶ月を要するので大変ですが、薬が嫌いな方にお奨めです。舌下減感作は注射しない『減感作療法』ですが、まだ日本では認められていません。手術では、ハナ粘膜へのレーザー治療も有効ですが、花粉症の季節前に照射すること、長年は効かないこと、の2点をご理解ください。
薬の治療では、抗ヒスタミン薬がくしゃみ・鼻汁を抑えます。副作用に眠気がありましたが、2000年以後の新しい抗ヒスタミン薬では、ほとんど眠気が出なくなりました。商品名ではアレグラなどがお勧めです。鼻づまりには、抗ヒスタミン薬が効かないので、抗ロイコトルエン薬を併用します。商品名は キプレス・オノンなどです。この2種類の薬の併用でも、まだ すっきりしない患者さんには、ハナに噴霧するステロイド剤が有効です。ステロイド剤に副作用があるのではないか、と心配する方がいますが、ハナに噴霧するステロイド剤や気管支に吸入するステロイド剤は、正しく使えば安全でとても有効な薬品です。ときに、重症の花粉症の患者にステロイド剤内服が必要なこともあります。これも、短期間に正しく使えば大丈夫です。一部の医院で行われている『1回打てば1月のあいだ有効な肩への注射』は、『ケナコルト』という持続性ステロイド剤です。こちらは副作用の恐れがあり、推奨されていません。